森田療法に出会う(2)
森田療法の本と出会った頃、子どもは来年幼稚園の年少さんとしての入園を控えた頃でした。
自宅そばに入園させたい幼稚園がなく、希望していたところは大体車で送迎しなくてはいけないところばかり。
毎日のこととなると・・と不安が拭えず悶々としていた頃でした。
たまたま図書館で見つけた森田療法の本を読み、行けるところに森田療法で治療を行っている病院はないか探したところ、みつかりました。
結構さっくり 笑。
森田療法を行っていたT病院は、私の住む市内にありました。
(現在は先生がご高齢でリタイア。残念です。)
ウエブサイトもあり、それを見ると先代の頃からある病院で、剣道場も併設とのこ・・・ウエブサイト自体も少し個性的で、手作り感というか温かみというか・・・
なんとも表現しにくいのですが、森田療法はライフワークというこちらの先生のところへ行くことにしました。
予約が必要かどうかの問い合わせのお電話をしたところ、平日の午前中に行くことになりました。
車で自宅から20分ほど走った、駅の反対側にその病院はありました。息子をチャイルドシートに乗せ、一緒に来院。
電話で問い合わせた駐車場に駐車しようとした途端、緊張と安堵で嘔吐してしまいました。ふらふらと息子を連れて病院の中へ。
古い病院で、奥様が受付。病院というよりも誰かのお家にお邪魔するような雰囲気でした。カーテンや飾ってある置物、家具など全てが古く、でも丁寧にお掃除がされている気がしました。
どうぞ、と言われ奥の診察室へ入ったところ、剣道家でもあるという院長先生は口ひげをたくわえ、これまたなんだか個性的な先生でした。
いつ頃始まってどういう状態になるかなどを問診されました。
時系列で話しているうちに、もう3年近くこの状態にがんじがらめになっている私。
今日も新しい病院へ行くというだけで無駄に緊張してしまい、嘔吐してしまったことなどを話しているうちに、とても悲しい気持ちになり泣きながら話してしまいました。
でも、先生はいたって普通に
「今はね、とらわれているんだよ。心が自分にだけ集中していてね。
今お子さん小さいしょ。今度は幼稚園に行くんでしょ?
これからは子育てでどんどん忙しくなって、自分の症状どころじゃなくなるよ。
他に考えなきゃいけないことが増えるからそれどころじゃなくなるよ。安心していい。
ああ、また発作が起こりそうだ。と思っても、その発作を無理やり無視しようとしなくていい。
緊張している・嫌なことだ・心臓がばくばくする・吐き気がする・吐いてもいいじゃない。誰だって具合が悪い日はあるわけで、特別おかしなことじゃない。
自分が考えている以上に、人はあなたに興味はないから気にしなくていい。
それに、もうこの症状が始まって、2年近いのに薬も飲まずに頑張ってきたんでしょ?なら大丈夫。必ず克服できる日が来るから」
ただこれだけしか言われていませんでしたが、なぜかすーっと心が軽くなったような・・。
診察の後、お昼過ぎから都内で子育てサークルの仕事があり、それには30分ほど遅れて到着。
移動中、たどり着かない・絶対無理・今日こそトンネルにぶつけて死ぬかも・・という恐怖は相変わらず起こりましたが、どこか自分があるべきところに引き戻すような感情を久しぶりに味わえ、予約していた区民センターに着く頃には嘘のように恐怖心や症状が消えました。無事にたどり着いたあの日の達成感は、今でも不思議と忘れられません。
「あるがまま」は難しいです。パニック障害の人は不思議とこだわりがあるので、
そのままでいいよ。とかあるがままが少し苦手かもしれません。
こうあるべき、から離れれば、気持ちも発作も軽くなるのを学んだ日でした。