薬を使わず治すパニック障害〜誤作動した脳と心の修理

パニック障害を発症し、克服するまでの記録です

自治会の話・・新たなストレス

 

引っ越した先の新興住宅地は
地方ターミナル駅を私鉄で1つ北に向かった場所だ。


自然が残り、静かで子育てには最適な環境だと
夫は喜んでいた。
都内までの通勤も彼は頑張ってこなしていた。

確かに川が流れ、蝶が飛び、夜は星がたくさん見えた。

 

 




彼が出かけた後、
この町に残された私にはただの嫌な町でしかなかった。

まだ息子が1歳になるかならないかの頃。


賃貸住宅に越してきた私たちの玄関の前に

突然知らない女性が立っていた。

聞けば「自治会です」という。

都内に住んでいた頃は自治会はなかったり、

有っても回覧を回す程度だったり、加入の自由もあった。


が、話を聞くと
「地域の人たちは全員加入している」とのこと。

全員加入という言われ方に疑問を持った私は
「でもうちは賃貸なので」と返事をした。

が、女性は
「いいえ、賃貸でも加入していただいています」と言った。

理由を尋ねると、
この地域はゴミを出す際
ゴミ当番を輪番にして、

出されたゴミを仕分けしたり
回収後はゴミ置場のお掃除をするのだという。

「あのー、うちは私一人で乳児をみているので、
万一その当番になったら責任持ってお掃除とか難しいです」


「その場合はご主人様にでも代理でお願いしてください」


税金払ってゴミ出しているのに、この上ゴミ当番って何。
それもまるで自治会未加入者はゴミを出してはいけないかのような言い方。

事情を無視した言い方。その場合は配慮しますもない。

 


とりあえず主人に相談します、とだけ伝えて引き取ってもらった。

 




大家さんに電話で相談すると、
「自治会は加入です」という。

それは引っ越す際に話をしてくれてない。

主人は「やりたくなければやらないって言えば」と言った。

やりたくないんじゃなくて、


できない


のだ。

一人で乳児の世話をし、
合間を縫ってサークルの世話人の仕事をし、
時に息子を連れて朝から遅い夕方まで都内だ。

もしゴミ当番が来れば
あの真っ暗な川沿いのゴミ集積所を一人で掃除しなければならないし、
家に息子一人を残しておけない。
ベビーカーで連れて待たせても
万一泣いてひっくり返ったりでもしたりしたらどうするのだ。



失礼なことを書いてしまうが、
田園の静かな田舎で生まれ育った人間からすれば
まだ明るい街に思えるかもしれない。

繁華街のそばで育った私には
ただただ暗いところなのだ。

しかも近所にお友達がいるわけではないし、

それに
物騒だという理由で
どこの家も夕方を過ぎると雨戸を下すのだ。

何かあってもこれでは誰も駆けつけてくれないのでは?
としか思えない。


「嫌ならっていうけど、
そうじゃなくてできないの」


「じゃあそう言えばいい。俺は仕事があってできないよ」

「ゴミ出すなって言い方だったよ!」

「そんなことないだろ。ゴミ回収は公務員がやってるんだぜ。
税金払ってるんだからそんなのあるわけないだろ」

「もうやだ。嫌なら引っ越せばいいっていうから
ここに引っ越してきたけど、やっぱりやだ!
都内に戻りたい!」

「無理だよ、お金ないもん」

かみ合わない会話が続いた夜だった。